保育現場では日々さまざまな製作活動が行われていますが、「スパッタリング」という技法をご存じですか?
聞き慣れない方もいるかもしれませんが、実はとっても簡単で、子どもたちも大喜びする表現あそびのひとつなんです。
この記事では、スパッタリングの基本から、保育現場での取り入れ方、季節の製作アイデアまで、新人保育士さんにもわかりやすくご紹介します。
スパッタリングとは?

スパッタリングは「絵の具を飛ばす」技法
スパッタリングとは、絵の具をブラシや網などを使って「飛ばして色をつける」表現方法です。
「スパッタ=はね飛ばす」という意味から名づけられたこの技法は、筆で塗るのとは違い、点や細かい模様のような質感を楽しめるのが特徴です。
道具は、歯ブラシと金網(ストッキングやネットでも代用可)があればOK。そこに絵の具をつけて指でこすれば、シュッと絵の具が飛び散って模様になります。
子どもたちに人気の理由とは?
スパッタリングの魅力は、なんといってもその“偶然性”。
どこにどんなふうに色がつくかわからないワクワク感があり、絵の具がパッと飛んだ瞬間の「おぉ〜!」という子どもたちの反応はとても盛り上がります。
また、力加減や方向によって模様が変わるため、同じものが一つとしてないという楽しさもあります。
年齢や発達段階に応じた取り入れ方
スパッタリングは、ある程度手先が器用になってくる3歳頃からが導入しやすいとされています。
とはいえ、2歳児でも保育者が手を添えれば一緒に体験できるため、月齢や興味に応じて柔軟に取り入れるのがおすすめです。
- 3歳児:保育士が補助しながら道具に慣れる
- 4歳児:型紙や型抜きを使って模様遊びに
- 5歳児:自分で自由に構成しながらダイナミックに表現
保育でスパッタリングを使うメリット

自由な表現で創造力を育む
スパッタリングは、正解がなく自由に表現できる技法です。
思いきり飛ばしてみたり、色を重ねたり、失敗も含めて「これもアリ!」と認められる体験は、自己肯定感や創造性の芽生えにもつながります。
「こうじゃなきゃいけない」ではなく「こうしてみようかな」が育つ時間を作れるのが、保育での大きな魅力です。
筆では出せない独特の風合いが楽しめる
筆で塗ったり、手でスタンプするのとはまったく違う、粒子のような細かい模様が出るのもスパッタリングならでは。
色を重ねることでグラデーションや星のような表現ができ、アートとしての仕上がりもワンランクアップします。
感触・音・動きも楽しめる全身体験
シュッと飛ぶ感触や音もまた、子どもたちにとっては楽しいポイント。
腕を動かしたり、少し体を乗り出したりと、スパッタリングは全身を使った遊びとしてもおすすめです。
感覚統合や手指運動にもなり、一石二鳥の製作時間になります。
スパッタリングのやり方と準備するもの

基本の道具と手順(歯ブラシ・網・絵の具など)
準備するものは以下のとおりです。
〈基本の道具〉
- 絵の具(ポスターカラーや水彩絵の具)
- 歯ブラシ(使い古しでOK)
- 網や金属ネット(料理用の小さな網など)
- 用紙(画用紙、色画用紙、クラフト紙など)
- 汚れてもいい新聞紙やビニールシート
〈手順〉
- 絵の具を少し水でといて、歯ブラシに含ませる
- 網の向こうに紙をセットし、歯ブラシを指でこする
- 絵の具がシュッと紙に飛び散って模様になる
- 好きな色を重ねてもOK
※型紙を置いてその周りだけスパッタリングすれば、シルエット模様になります。
注意点と安全対策(汚れ・誤飲・洋服の工夫)
スパッタリングは楽しい反面、飛び散りやすく汚れやすい技法でもあります。以下のような対策がおすすめです。
- 子どもにはスモックやエプロンを着用
- 床やテーブルには新聞紙やビニールシートを敷く
- 絵の具が目や口に入らないよう、見守りはしっかり
- 使用後は手洗いの習慣も徹底
道具の扱いに不安がある年齢では、保育士がスパッタリングし、子どもは型紙や配置に関わる形も取り入れられます。
おすすめの導入シーンと季節製作例
スパッタリングは単独で楽しむのはもちろん、季節製作の背景や装飾に活用するととても効果的です。
- 春:桜の花びらや菜の花畑の背景に
- 夏:夜空の星や花火に
- 秋:紅葉やどんぐりの背景として
- 冬:雪の表現やクリスマス装飾に
保育でのスパッタリング活用アイデア

四季の壁面装飾にぴったり(桜・花火・雪など)
スパッタリングは、季節感のある装飾の背景作りに最適です。たとえば:
- 【春】桜の形の型紙の上からピンク色でスパッタリング→花びらの模様
- 【夏】黒い画用紙に白・黄・青などの絵の具→夜空に打ち上がる花火
- 【冬】青背景に白スパッタリング→雪景色に早変わり
背景があるだけで製作全体がぐっと映えるので、クラス掲示にも活用しやすいです。
行事製作にもおすすめ(七夕・ハロウィン・クリスマス)
行事製作にもスパッタリングは大活躍。星やきらきらを表現するのにぴったりな技法です。
- 【七夕】黒台紙に星型の型紙+金銀スパッタリング→幻想的な夜空に
- 【ハロウィン】おばけの形をくりぬいて周囲にオレンジや紫の絵の具
- 【クリスマス】ツリー型の台紙の周りに白や金でスパッタリング→雪のような表現に
子どもたちの作品に「立体感」や「動き」が加わり、より豊かな仕上がりになります。
素材の工夫でバリエーションを広げよう(型紙・マスキング・異素材)
スパッタリングは使う素材を工夫することで、さまざまなバリエーションが可能です。
- 型紙を貼って模様のシルエットを出す
- マスキングテープで文字を作り、スパッタリング後にはがす
- スパンコールや紙片と組み合わせて、さらに装飾的に
紙だけでなく、紙皿・クラフトバッグ・布などに使えば製作の幅もグンと広がります。
まとめ|スパッタリングで広がる表現あそびの世界
スパッタリングは、一見難しそうに見えて、実はとっても簡単で自由な表現あそび。
新人保育士さんでもすぐに取り入れられ、子どもたちの創造力や自己表現を引き出す素敵な時間になります。
季節製作や行事のアクセントにもなるので、ぜひクラスの活動に取り入れてみてください。
色が飛び散るワクワク感や、偶然の模様の美しさに、大人も子どもも思わず夢中になるはずですよ。
コメント