お正月は、日本の伝統文化がギュッとつまった特別な行事。保育園でも年末や年始に向けて「お正月飾り」の製作を行う園が多く、子どもたちのわくわくした気持ちを育む絶好の機会です。
とはいえ、「しめ縄って何のため?」「鏡餅ってどんな意味があるの?」など、子どもたちにどう伝えるか悩む場面もありますよね。また、年齢によって製作の難易度を調整したり、安全面に注意したりと、保育ならではの工夫も必要になります。
本記事では、保育で楽しめるお正月飾りについて、
- お正月飾りの意味
- 保育で取り入れるメリット
- 年齢別の製作アイデア
- 活動のねらいや配慮ポイント
をわかりやすくまとめて紹介します。明日の保育からすぐに使える内容ばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
保育で「お正月飾り」を楽しむ理由

季節の行事に興味を持つきっかけづくり
お正月飾りは、子どもたちにとって“特別な飾り”。いつもの園内とは違う雰囲気が生まれ、自然と行事への興味や期待感が高まります。家庭でもよく目にする飾りのため、園と家庭のつながりを感じられる経験にもなります。
また、行事を通して「季節が変わる」「一年が始まる」という概念に気づき、生活の節目を感じる力を育むことにもつながります。
伝統文化を身近に感じられる経験
保育の中でお正月飾りの製作を取り入れることは、子どもたちが“日本の文化”を体験的に知る機会につながります。
たとえば、
- なぜ玄関に飾るのか
- どんな願いが込められているのか
- どんな素材で作られてきたのか
といった背景を、子どもにわかりやすく伝えることで「意味のある行事」として理解しやすくなります。文化の始まりや願いを知ることは、子どもの心の成長にも大切な学びです。
☆実は大人でも意味を知らない人が多いです…。実際に私も以前は知らなくて、子ども達に聞かれてすぐに答えられなく、反省したのを覚えています。(苦笑)
手先を使った製作活動で育つ力
お正月飾りの製作では、紙を丸めたり、シールを貼ったり、毛糸や綿を使ったりと、指先をたくさん使います。
こうした活動は、
- 集中力
- 手指の巧緻性
- 表現力
- 発想の豊かさ
を育てる絶好の機会です。伝統文化の理解とあわせて、乳幼児期に必要な「つくる力」「感じる力」も伸ばしていくことができます。
子どもに伝えたいお正月飾りの意味

お正月飾りは、それぞれにしっかりとした意味や役割があります。保育で活動する際には、難しい言葉を避けつつ、子どもたちの興味を引く説明ができると理解が深まります。
しめ縄飾りの意味
しめ縄は、古くから「神様を迎える準備ができた場所」を示すための飾りとして使われてきました。
子ども向けに伝えるなら、
「しめ縄は、お家に福をよんでくれる、大事なお飾りなんだよ。」
など、シンプルな言葉で伝えるのがポイントです。
門松の役割
門松は、歳神様(新しい年の神様)が迷わず家に来られるようにする“目印”です。
竹や松を使う理由を話すときは、
- 松:一年中緑で元気だから「長生きのしるし」
- 竹:まっすぐ伸びるから「成長のしるし」
といった解説を加えると、子どももイメージしやすくなります。
鏡餅に込められた願い
鏡餅は、丸い形に「円満」「豊かさ」「平和」の願いが込められています。
橙(だいだい)を上にのせるのは、「代々(だいだい)繁栄しますように」という意味も。
「まんまるのお餅は、みんながなかよく元気にすごせますようにって気持ちが入ってるんだよ」
など、優しい表現にすると子どもたちも理解しやすいでしょう。
保育園で伝える時のポイント
- 難しい言葉を使わない
- 絵カードや実物写真を見せる
- 質問をゆっくり受け止める
- “願いが込められている”点を強調すると理解しやすい
ただ説明するだけでなく、触る・見る・作るの三つの体験をセットにすると、より深い学びになります。
保育で作れる!簡単お正月飾りの製作アイデア
ここからは、保育で扱いやすいお正月飾りの製作を、年齢別にアレンジしながら紹介します。素材はどれも揃えやすく、活動のねらい設定もしやすいものばかりです。
紙皿で作るしめ縄風リース

作り方のポイント:
- 紙皿の中心をくり抜き、リース型にする。
- クレヨンや絵の具で模様を描く。
- 折り紙で作った橙・葉っぱ・飾りを貼る。
小さい子はスタンプ中心、大きい子は細かい飾りづくりを担当すると、全クラスで取り組めます。
《ねらい》
- 形の変化を楽しむ
- 好きな色で表現する
- 日本の行事に親しむ
折り紙で作る門松

3本の筒状にした折り紙を、画用紙の座布団に貼りつけるだけで簡単な門松が完成します。
年齢によってアレンジを変えると◎
- 2歳児:丸めた紙を貼るだけ
- 3歳児:色分けした折り紙を選ぶ
- 4・5歳児:模様を描く・松の葉をハサミで切る
《ねらい》
- 色や形の違いに気づく
- のりの量を調整して貼る経験
- 行事に興味を持つ
ふわふわ綿の鏡餅製作

綿の感触を楽しみながら作る鏡餅は、乳児にも人気の製作です。
- 画用紙の丸型を用意
- 上に綿をのせてのりづけ
- 橙は紙粘土や折り紙でつくる
綿の“ふわふわ”は感触遊びにもなるため、特に0〜2歳児にぴったり。
《ねらい》
- 感触を楽しむ
- 大小の丸の違いを知る
- 伝統的な飾りに興味を持つ
0〜2歳児向けの簡単アレンジ方法
乳児さんは「貼る」「触る」「色を見る」など、シンプルな活動が中心になります。
おすすめアレンジ:
- しめ縄部分をスタンプで表現
- 鏡餅の丸をスポンジスタンプでぺったん
- 門松の竹をシール貼りで楽しむ
1〜2歳は“できた!”をたくさん感じられるよう、完成までの工程を少なくし、達成感を味わえるようにすると良い製作になります。
3〜5歳児向けの発展アイデア
幼児クラスでは「テーマ性」や「自分らしさ」を反映した製作が可能です。
- 門松の模様を自由に描く
- しめ縄の飾りを自分でデザインする
- 鏡餅の台紙に和柄折り紙を貼る
工程が多い分、協力して作る場面も生まれ、集中力・創造力が育ちます。
お正月飾りを保育に取り入れる際のポイント

製作のねらいや安全面にも気を配りながら、子どもたちが楽しく活動できる環境を整えましょう。
ねらいの設定例(年齢別)
0〜2歳児
- 季節の行事に触れ、雰囲気を楽しむ
- 色や感触を味わいながら表現する
3〜5歳児
- 日本の伝統行事に興味を持つ
- 道具を使い、手先を使って丁寧に作る
- 行事の背景にある意味を知り、自分で飾りを選ぶ
ねらいを明確にすると、活動の評価や振り返りがしやすくなります。
飾る場所と安全面の注意
お正月飾りは、飾るだけで園内の雰囲気を一気に明るくします。
ただし、以下の点に注意が必要です。
- 高い場所に飾る場合は、落下の危険がないか確認
- 小さな装飾品は誤飲につながるため乳児の手が届かない場所へ
- のりや絵の具の量が多い作品は乾燥時間を長めに確保
安全に配慮しつつ、子どもたちの表現を大切に展示すると、保護者にも好評です。
保護者にも伝えたい文化の話
行事の意味や子どもたちの製作意図を保護者に伝えることで、
家庭でも行事への興味が高まります。
- 掲示物に「飾りの意味」を添える
- 製作のねらいを連絡帳やアプリで伝える
- 家庭で飾ることを提案する
「園で聞いたから家でも飾ってみたよ」という声が増えることもあります。
製作後の展示・持ち帰りの工夫
園内の玄関やホールに飾れば、季節感の演出と子どもたちの誇りにつながります。
展示の工夫:
- クラスごとにテーマカラーを決める
- 和紙や千代紙を背景に使う
- 写真と一緒に“製作のプロセス”を掲示する
持ち帰り時は、折れたり潰れないよう軽い台紙を添えたり、袋を工夫すると保護者が安心して持ち帰れます。
まとめ|お正月飾りを通して子どもたちが感じる“季節と文化”
お正月飾りの製作は、子どもたちが日本の伝統文化に触れ、季節の移り変わりを感じる貴重な機会です。ただ作るだけではなく、そこに込められた願いや意味を知ることで、より深く行事に親しむことができます。
保育では、年齢に合わせた「楽しみ方」と「学び方」を工夫しながら、子どもたち一人ひとりの表現を大切にしていきたいものです。
今年のお正月飾り製作が、子どもたちにとって楽しく豊かな時間になりますように。
そして、園と家庭をつなぐ温かい行事として、笑顔あふれる新年のスタートを迎えられますように。

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