トランプは、一組あれば年齢に合わせてさまざまな遊びが楽しめる万能アイテムです。保育園や幼稚園、家庭でも手軽に取り入れられ、ゲームを通して子どもたちの集中力やルール理解、コミュニケーション力を育てることができます。
特別な道具は必要なく、遊び方を少し工夫するだけで幅広い年齢が一緒に遊べるのもトランプの魅力。異年齢の関わりにも活用しやすく、静の活動としても、友だちとのコミュニケーションとしても人気の遊びです。
本記事では、幼児期におすすめのトランプ遊びを一覧で紹介しながら、
- 保育園・幼稚園で楽しめる遊び
- 家庭で親子で楽しめる遊び
- 年齢別の選び方
- 保育に取り入れる際の注意点
など“明日から使える情報”をまとめて丁寧に解説します。
幼児期におすすめのトランプ遊び一覧

トランプ遊びが子どもに与える効果
トランプは遊びながら学びにつながる要素が多く、幼児期の発達に合った活動が自然に取り入れられます。たとえば、以下のような力が育ちます。
- 記憶力:カードの位置を覚える
- 数量理解:数字の大小や同じ数字を探す
- 順番を待つ力:ゲームのルールに沿って行動する
- 観察力・判断力:場の情報を見て動く
- コミュニケーション力:友だちとのやり取りが生まれる
特に幼児期は「遊びの中に学びがある時期」。楽しさを感じながら、自然と知的好奇心が育まれていきます。
園でも家庭でも取り入れやすい理由
トランプ遊びは
- 用意するものがひとつ
- 片付けが簡単
- 少人数~大人数まで対応できる
- 年齢に合わせて遊び方を変えられる
という手軽さが魅力です。
家庭では親子の時間づくりに、園では午睡前や降園前の活動に取り入れやすく、隙間時間でも充実した遊びができる点が人気の理由です。
保育園・幼稚園で楽しめるトランプ遊び

ここでは、園でも取り入れやすい定番の遊びを紹介します。遊び方自体はシンプルですが、子どもたちの発達や保育のねらいを考えると、とても奥深い活動になります。
神経衰弱(記憶力遊び)
裏向きに並べたカードをめくり、同じ数字が出たらゲットできるというシンプルな遊びです。
ねらい:
- 記憶力を育てる
- 順番を待つ
- 友だちの動きを観察する
大きい子だけでなく、3歳児でも少ない枚数からチャレンジでき、難易度を調整しやすいため保育でも定番のゲームです。
ババ抜き(ルールの理解・順番を待つ力)
カードを引く・引かれるという関わりが楽しいババ抜きは、友だちとのやり取りが自然に生まれる遊びです。
ねらい:
- 相手の表情や気持ちに気づく
- ルールの理解
- ドキドキ感を味わう
勝ち負けへの気持ちの折り合いも学べるため、気持ちの育ちにもつながります。
七並べ(並べる力・観察力)
場にカードを並べていく遊びで、4・5歳児にもなると一気に盛り上がります。
ねらい:
- 規則性に気づく
- 場の状況を見て判断する
- 戦略的に考える力を育てる
ただし難易度は高めなので、保育では“協力バージョン”として「みんなで完成させよう」遊びにアレンジすることもおすすめです。
スピード(判断力・反応遊び)※年長向け
スピードは瞬間的な判断が必要なため、年長児や小学生向けの遊びです。
ねらい:
- 数字の順番を理解する
- 素早い判断力を育てる
- 集中力を高める
動きが早く、盛り上がりやすい遊びですが、競争が激しくなりすぎないよう声かけも大切です。
人数が多くてもできるトランプ遊びアレンジ
保育園では大人数の活動になることも多いため、以下のアレンジが便利です。
- 神経衰弱のグループ対抗戦
- ババ抜きを3〜4チームで同時進行
- 七並べの協力バージョン(1列をみんなで完成させる)
大勢でも参加できるため、異年齢保育でも活用しやすい遊びです。
家庭で楽しめる親子のトランプ遊び

家族で楽しめる遊びは、保育とはまた違ったあたたかいコミュニケーションの場が生まれます。
算数スナップ(数字の大小・同じ数字を見つける遊び)
「戦争」という名前の遊びに代わる、幼児向けの安全な表現・内容の遊びとしておすすめです。
遊び方はとてもシンプル:
- 親子でカードを一枚ずつ出す
- 大きい数字を出した方が勝ち
- または“同じ数字を探すゲーム”としてアレンジも可能
ねらい:
- 数字の大小を知る
- 数量理解
- ペア探しを通して観察力が育つ
幼児でも取り組みやすく、家庭での知育遊びとしても人気の活動です。
ぶたのしっぽ(勝ち負けのドキドキを味わう)
山札から引いたカードが同じマークだとカードを引き取る遊び。
ねらい:
- 勇気を出して引く経験
- 勝ち負けの気持ちの折り合い
- ルールを守る力
簡単なルールなので、年少児ごろからでも楽しめます。
ジジ抜き(小さい子でも簡単)
最後までジジ(1枚残ったカード)を持っていると負けという、単純で盛り上がる遊びです。
ねらい:
- 簡単なルールで成功体験を得る
- 親子で会話を楽しむ
- 取り合いのドキドキを味わう
表情を読み合う遊びでもあるので、コミュニケーション力も育ちます。
家族みんなで盛り上がる遊びのコツ
家庭でトランプ遊びを長く楽しむには以下がポイントです。
- 遊ぶ時間を短めに設定する(子どもが飽きないうちに終わる)
- 難しいルールは省いて参加しやすくする
- 親が“楽しんでいる姿”を見せる
- 負けても安心できる声かけをする
家族の笑顔が広がり、心の距離が近づく時間になります。
年齢別・発達に合わせたトランプ遊びの選び方

年齢や発達に合わせて遊びを選ぶと、無理なく楽しめて成功体験につながります。
3歳児〜楽しめるシンプルな遊び
- ジジ抜き
- ぶたのしっぽ
- 簡単な神経衰弱(カード枚数を減らす)
まだ複雑なルールは難しい時期なので、“勝敗よりもカードを扱う楽しさ”を大切にします。
4〜5歳児が夢中になるルール性のある遊び
- ババ抜き
- 七並べ(簡単バージョン)
- スピード(簡単アレンジ)
- たし算カードゲーム(発展遊び)
この年齢になると、順番・ルール・戦略などを理解し始め、少し難しい遊びにも挑戦できるようになります。
小学生も一緒に楽しめる発展ゲーム
- 本格的な七並べ
- スピード
- 算数スナップのアレンジ遊び
- しんけいすいじゃくタイムアタック
異年齢で遊ぶことで、上の子が下の子を助けたり、ルールを教えてあげる場面が生まれます。
人数・場面・時間に合わせた遊び選びのポイント
- 午睡前など静の時間 → 神経衰弱、ペア探し
- 体力が余っている時間 → スピード、テンポのある遊び
- 大人数 → 協力型七並べ、グループ戦
- 家庭でゆったり → ジジ抜き、算数スナップ
場に合わせて柔軟に選べるのもトランプ遊びの魅力です。
保育でトランプ遊びを取り入れる際の注意点

保育では、楽しさと同時に“安全”と“心の育ち”にも配慮する必要があります。
人数調整やカード管理の工夫
- カードが散らばりやすいので、活動範囲を先に決める
- グループごとにカードを分けて管理する
- なくなったカードに気づきやすいよう柄を覚えておく
保育者が事前に準備すると、活動がスムーズに進みます。
勝ち負けへの配慮・声かけ
幼児期は勝ち負けに敏感になりやすい時期です。
- 「がんばったね」「最後までできたね」と過程を評価
- 負けた子の気持ちに寄りそった声かけ
- “勝ち=いい子”にならないようバランスよく伝える
遊びが“心を育てる場”になるよう、気持ちのケアも大切です。
集中しやすい環境づくり
- テーブルに余計な物を置かない
- 人数を多くしすぎず適度なグループに分ける
- 音や動きが多い環境を避ける
集中できる環境は、成功体験にもつながります。
異年齢保育での取り入れ方
- 年長がカードを配る係になる
- ルールの説明を年中が担当
- 年少は簡単なペア探しなどに参加する
自然な“学び合い”が生まれ、保育環境全体が豊かになります。
まとめ|トランプ遊びは「遊びながら学べる」万能教材
トランプ遊びは、年齢や発達に合わせて多様な遊び方ができ、園でも家庭でも長く楽しめる万能の遊びです。
一覧で紹介したように、
- 記憶力
- 数量理解
- 判断力・観察力
- コミュニケーション力
など、幼児期に育てたい力が自然と身につきます。
保育では人数調整や勝ち負けへのケアを行いながら、子どもたちが安心して楽しめる環境づくりが大切です。
家庭でも保育でも、トランプ遊びを通してたくさんの笑顔や学びが生まれますように。
ぜひ、気軽に取り入れて“遊びながら育つ時間”を楽しんでみてください。

コメント