はじめに
近年、保育の現場では「異年齢保育」に注目が集まっています。異年齢保育とは、年齢の違う子どもたちが同じグループで生活し、遊びを通じて関わり合う保育形態のこと。異なる発達段階の子どもたちが関わることで、自然と助け合いや思いやりが生まれ、学びの幅が広がるのが大きな魅力です。
では、異年齢保育の中でどんな遊びを取り入れると効果的なのでしょうか?本記事では、音楽・製作・運動・ゲーム・生活の中で楽しめる活動を具体的に紹介します。
異年齢保育における遊びのねらい

思いやりや協調性の育成
年上の子は小さい子に「貸してあげるね」「こうやるんだよ」と優しく声をかけることで思いやりの心が育ちます。一方で年下の子は「お兄さんみたいにやってみたい!」と憧れを持ちながら遊びに参加し、自然と協調性を学びます。
模倣から学ぶ力
子どもは模倣を通して成長します。異年齢保育では、年下の子が年上の姿を見て真似することで、新しい遊び方や言葉を獲得できます。また、年上の子も「見本になろう」と意識することで、行動が丁寧になり責任感が育ちます。
リーダーシップや責任感の芽生え
年上の子は「リーダー役」としての役割を担う機会が増えます。例えば、ルールの説明や準備を任されることで、自信や責任感が養われます。こうした経験は将来の集団生活にもつながる大切な力となります。
保育の中で一見大人しそうな子が丁寧に教えている様子ややんちゃな子が積極的にお手伝いをしてくれるなど普段とは違った一面も見られる機会なので結構いいですよ!
異年齢で楽しめる遊びの種類

音楽・リズム遊び(手遊び・楽器遊び)
音楽やリズム遊びは、異年齢保育に最適です。
- 手遊び歌:年上の子がリードして歌や振りを披露し、年下の子は真似をして参加します。「むすんでひらいて」「グーチョキパーでなにつくろう」など、簡単で繰り返しがあるものが人気です。
- 楽器遊び:タンバリンやカスタネットを使い、リズムに合わせて一緒に鳴らします。年上の子が「ここで叩くんだよ」と教えてあげる姿は微笑ましく、異年齢ならではの交流が生まれます。
- リズムダンス:音楽に合わせて体を動かすことで、一体感や達成感を味わえます。
リズム遊びは発達段階にかかわらず誰もが参加できるため、全員で楽しみやすい活動といえるでしょう。
製作遊び(折り紙・共同制作)
製作活動は、年上と年下が自然に関われる遊びです。
- 折り紙:年上が「ここを三角に折るんだよ」と教え、年下は真似をして取り組みます。できあがったものを「上手だね!」と褒めることで、双方の自信につながります。
- 共同制作:大きな紙に一緒に絵を描いたり、壁面飾りを作ったりする活動もおすすめ。年上は全体の構成を考え、年下は色を塗る・貼るなどのシンプルな作業を担えます。
- 季節行事の製作:七夕の飾りやクリスマスの装飾などを異年齢で作れば、園全体の一体感も生まれます。
製作遊びは成果物が残るため「みんなで作った!」という達成感を強く感じやすい点が魅力です。
☆私が以前働いていた保育園では園内行事(七夕や十五夜、ハロウィン)などのイベント毎の製作を一緒に行っていましたよ!
運動遊び(リレー・サーキット)
運動遊びも異年齢の関わりを促します。
- リレー遊び:年上と年下がペアを組んで走ることで、自然に助け合いが生まれます。手をつないでゴールを目指す姿はまさに異年齢保育の醍醐味です。
- サーキット遊び:マット・平均台・フープなどを並べて挑戦する活動。年上が「こうやるんだよ」と先にやって見せ、年下が挑戦する流れが自然とできます。
- 外遊び:鬼ごっこやかけっこも、年上が加減をしてあげることで一緒に楽しめます。
体格差や運動能力の差があるため、保育士が安全に配慮することが大切です。
☆保育園によっては運動会などでも4.5歳合同で競技をしたりもするので、普段から遊びとして取り入れていると面白いです。
ゲーム遊び(伝承遊び・簡単ルールのゲーム)
ゲーム遊びはルールを学ぶ絶好の機会です。
- ハンカチ落とし:ルールがシンプルで、年下もすぐに理解できます。
- いす取りゲーム:年上がリードしながら進めるとスムーズ。勝ち負けを受け入れる経験にもつながります。
- ジャンケン列車:年下でも参加しやすく、集団で盛り上がれる遊びです。
こうしたゲームは「順番を待つ」「ルールを守る」ことを学ぶ機会になります。異年齢で行うことで、年上が自然とフォロー役に回る点も魅力です。
日常生活に根ざした遊び
異年齢保育では、日常生活そのものが遊びに発展します。
- お片付け:年上が「ここに入れるんだよ」と教え、年下と一緒に片付けをする。
- 給食やおやつの準備:配膳を手伝ったり、年下に渡してあげたりすることで協力する力が育ちます。
- 散歩や園庭遊び:年上が小さい子の手を引いて歩く姿は、信頼関係の表れです。
こうした日常の中で自然に生まれる学びは、異年齢保育の大きな魅力といえるでしょう。
異年齢保育の遊びを取り入れるポイント

安全面の配慮
年齢や体格の差があるため、遊びの内容やルールは保育士が調整する必要があります。特に運動遊びでは、年下の子が無理をしないように声をかけましょう。
年上の子への役割の与え方
「先生役」や「リーダー」としての役割を与えると、年上の子は自信を持って行動できます。ただし、負担にならないように、楽しめる範囲で役割を任せることが大切です。
保育士がサポートするバランス
異年齢だからこそ、子ども同士で解決できない場面もあります。そのときは保育士が適度に介入し、安心感を与えながらサポートする姿勢が求められます。
まとめ
異年齢保育における遊びは、子どもたちの発達を大きく広げる力を持っています。音楽や製作、運動、ゲーム、そして日常生活の一つひとつが、年齢の違う子ども同士の学びの場となります。
- 年上は思いやりや責任感を学び、
- 年下は憧れや模倣から成長を促され、
- 保育士はその関わりを見守りながらサポートする。
こうした異年齢ならではの関わりは、子どもたちにとってかけがえのない経験となり、保育現場をより豊かなものにしてくれるでしょう。
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